フシギな片想い
「きっと、今まで言えずにいた小さなストレスが積み重なっていった結果が、今回の原因になったんだと思います。もっと、俺に愚痴でも何でも話してくれたらよかったのにって思ったけど、美雨の性格もあるし、我慢しちゃってたんじゃないかって思います」
「ストレス?ずっと我慢?何でよ・・・まだ子供なのに・・・」
ママは泣いているみたいだった。
真央はふぅと息を吐く。
「俺、こんな風にじっくりと話すの得意じゃないんで、失礼な奴だと思ったらスミマセン」
前置きを伝えた後で、真央は急に砕けた口調になった。
「まだ子供だって思ってるのは、親のエゴで、俺たちは日々成長して、色々考えてるんだ」
強い口調で、真央は続けた。
「晴美さんって仕事も出来るし、お兄にとって頼れる上司だったし、人付き合いとか社会の中では上手そうなのに、何で自分の家族となると上手くいかないの?」
「母親としての役目が十分じゃないことが負い目になって、美雨との間に壁があるの?」
「俺には親がいないから、どう接するのが正解とか解んねぇけど・・・晴美さんは美雨がすごく中学校のクラスを気に入っていて、卒業と同時に別れなきゃいけないのをすごく寂しがってたの知ってた?」
「・・・美雨は誰とでも仲良くなれる子だから」
やっとの答えた声はか細くて頼りなかった。
「いや、美雨はどっちかっていうと人見知りだ。今、仲良くなった子は、その子の方から話掛けてくれたんだ。じゃあ、もうちょっと前の話、小学生の頃、同じマンションに住む友達の家でご飯を食べるのが、美雨は本当は嫌だったのは?」