フシギな片想い

「・・・」


「晴美さんが両親と仲たがいをして、実家を出る時、美雨がもしかしたら自分が晴美さんがいない間にお婆ちゃんに父親のこと訊いたからじゃないかって不安だったのは？」


「・・・」


「少し話しただけでも、晴美さんが知らないことだらけだろ？」


「何で、そんなことまで私じゃなくて真央くんに言うの・・・」


「俺が美雨と同い年で話しやすいっていうのもあるだろうけど・・・たぶん、解ってたから。晴美さんが一生懸命働くのは自分を養うためで、不満を口にしても晴美さんを困らせるだけだって、自分が我慢すればいいんだって・・・美雨は優しい子だから」


我慢してもさ、真央はゆっくりとした口調で続ける。


「美雨は寂しかったんだよ」


真央の一言一言が胸に沁みて、気付くと涙が零れていた。


嗚咽が漏れないように必死に両手で口を塞いだ。


くすんくすんとママが鼻を啜る音が聞こえた。


「どこか冷めた所のある子だと思ってた。きっと、母親らしいことを１つもしてあげてない私を見下してるんだって。イライラして怒鳴ったって、すぐに大人ぶって諦める。仕方ないなママはってそんな目で見られて、情けなかったの」


「ママがいないと何も出来ないくせに、子供だからって言い聞かせてなきゃ、威厳を保ってられなかった。あの子が、心の中で本当はどう思ってるか知るのが怖くて・・・」