フシギな片想い


「だったらお互い本音でぶつかってみればいい。俺には、美雨も晴美さんもお互いを思い合ってるのに、遠慮し合ってるように見えるから。喧嘩してもいいんじゃない?大事になったら俺やお兄が間に入ればいいし、だって、俺たち4人で家族になるんだろ?」


「そうね、家族だものね。・・・ありがとう、真央くん」


フフフとママが鼻を啜りながら笑った。


丁度、そのタイミングで玲央さんがひょっこり病室に顔を出した。


「とりあえず、美雨ちゃんは今日はここに泊まって、明日になったら帰っていいって。処方された薬を飲めば、治るらしい。面会時間もとっくに過ぎてるらしいから、晴美さんと真央を家に帰って。今日は僕が美雨ちゃんに付き添うから」


「付き添いなら私が・・・」


ママが言いかけた所で、


「ゴメン、立ち聞きするつもりなかったんだけど、真央と話してたの聞いた。晴美さん、今日は家に帰って反省しなさい。明日、笑顔で美雨ちゃんを迎えてあげられるように」


玲央さんが強く言う。


ママは玲央さんの意見に従うみたいだ。


頷き、お会計をしてくると、夜間受付に向かった。


玲央さんも真央たちを家まで送るがてら、着替えを取りに一旦、家に帰ることにしたらしく、車を回してくると、駐車場に向かった。


真央を残して、病室に再び静寂が訪れると、真央ががばりと私の布団を引っぺがした。


「ひっ」と思わず声が出て、泣きはらした顔を隠した。


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