フシギな片想い
晴空、あなたが好きです!


翌日は昨日の嵐が嘘のような快晴だった。


朝目覚めて、好きな人が私を覗いているって素晴らしいことだと初めて知った。


玲央さんはいつもと変わらない笑顔で「おはよう」と挨拶をしてくれた。


朝ごはんを病棟内にある売店で軽く済ませて、診察を受け、薬を処方してもらい、病院を出た。


訊けば玲央さんは、わざわざ有給を取ってくれたらしかった。


真央が学校に行く前に立ち寄ってくれたんだよって教えてくれたけれど、眠っていたので気付かなかった。


ママからは、私の事をよろしくねと玲央さんのもとにメールが来ただけで、仕事に向かったとのことだった。


病棟を出ると、むんと籠った空気が鼻に付いた。


昨日の雨の後で湿気も倍増らしい。


雨の匂いに夏の気配が混じる。


「車回してくるから、ここで待ってて」


玲央さんは横断歩道を渡り、車が並ぶ駐車場の中に消えて行った。


まだ午前中の早い時間、嵐が去った後の新しい1日は、別世界みたいにキラキラして見えた。


日差しが眩しくて、目が眩みそうだ。


お腹の痛みは消えていた。




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