フシギな片想い


昨日はたくさん泣いたから、涙と一緒にモヤモヤも流れてくれたんだと思う。


プップーと軽快なクラクションを鳴らして、玲央さんのバンが目の前に泊まった。


助手席に乗り込み、シートベルトを着ける。


「具合はどう?」


「大丈夫」


ハンドルを握りながら、よかったと玲央さんが頷く。


ゆっくりと敷地内を移動しながら、玲央さんはフロントガラスから、真っ青な空を仰いだ。


「いい天気だなぁ・・・」と呟く。


本当、いい天気。


玲央さんとこのままドライブデートに出かけたいなと不埒な考えが頭に浮かぶ。


「せっかくだから、無理しない程度にドライブしようか?」


一瞬、自分が考えていることが口に出てしまったのかと思った。


そうではなくて、玲央さんも同じこと考えてたんだ。


「いいのかな・・・私、学校休んでるのに」


「保護者同伴だから問題ないよ。どっか行きたい所ある?」


「じゃあ・・・海」


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