フシギな片想い


「了解」と短く答えると、玲央さんはナビを操作した。


思わぬデートに顔が緩む。


あぁ、せっかくだったらもっとカワイイ服だったらよかったのに。


倒れた時に着ていたのが部屋着だったので、玲央さんが持ってきてくれた(たぶんママが用意した)当り障りのない地味な服に着替えていたのだ。


でも、まあいいかとここはプラス思考に考えるしかない。


ノリのいいクラブミュージックをBGMに、バンは海へと向かって走って行った。




小一時間程のドライブで車は目的地に着いた。


埋立地を大型ショッピングセンターにした新しい施設で、人工ではあるが、ビーチや臨海公園なんかもある。


ショッピングセンターの駐車場に車を停め、玲央さんと2人、ビーチまで歩いた。


生ぬるいけれど、心地いい風が吹き抜けた。




海開きの前なのに、天気がいいせいか、お母さんたちが小さな子供を浅瀬で遊ばせている。


後は、散歩を楽しむカップルや子犬を散歩させるお爺さんなんかが浜辺を行き来していた。


「海とか久しぶりだなー」


目の前に広がる海原にややテンションが上がってるのか、玲央さんの声は弾んでいた。


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