フシギな片想い

じっと見つめる私の視線に答えるように、玲央さんは頷いた。


「美雨ちゃんのことは大好きだよ。でも、それは、家族としての好きだ。僕が愛しているのは晴美さん、これだけは今もこれからも変わらない。だから、美雨ちゃんの気持ちには答えられない。ゴメンね」


思っていた以上に玲央さんの口から発せられた「ママを愛してる」は、ズシリと心にくるものがあった。


鼻の奥がツンとなって、目頭が熱くなってきたけれど、泣くもんか！と意地を張った。


両手でぎゅっと拳を握って、ふぅと息を吐く。


子供の私の、突然の告白にも真面目に答えてくれる、真っ直ぐな玲央さんだから好きになった。


何で私はもっと早く生まれて来なかったんだろう？


玲央さんと同い年に生まれていたのなら、きっと恋に落ちていたのかもしれない。


だって、私はママの娘だから。


「何か、思い切って振られたら、逆にサッパリしたかも」


えへへと無理矢理だったけれど、笑顔を作った。


改めて、深くお辞儀をする。


「玲央さん、これからもママをよろしくお願いします。子供っぽくて、仕事命で、ずぼらだけど、私の大切なママなんです」


やっと、心から２人を祝福できそうな気がした。


頭を上げると、玲央さんにいつもの笑顔が戻っていた。