フシギな片想い
ドライブを終えて、家に帰る頃にはすっかり夕方になっていた。
玲央さんは私を家の前で降ろした後、夕飯の買い物に行ってくると、そのまま車で出かけて行った。
階段を上り、玄関の鍵を握り締めた所で、ふと後ろを振り向いた。
真央の部屋から音楽が漏れて聞こえてきたのだ。
もう帰ってる?今日はバイト入れてないんだ。
石畳のステップを渡って行き、真央の部屋の前に立つ。
コンコンと扉をノックする。
音楽が止んだと思ったら、真央が扉を開いた。
「美雨、体調はいいのか?」
驚いたような表情をした後で、真央は私の体調を気遣う。
こくりと頷くと、真央を私の後ろを確認して、
「1人なのか?」と訊ねた。
もう1度こくりと頷いた。
一呼吸置いて、さらりと告げた。
「真央、私ね、玲央さんに告白したよ」
えへへと笑いながら、やっぱり振られたよって明るく報告するつもりだったのになぁ。