フシギな片想い


「・・・頑張った」


ぼそりと真央が耳元で囁いた。


今まで聞いた中で一番優しい言葉だった。


真央の胸の中で大きく頷くと、戸惑いながら真央の腰に手を回した。


真央の匂いとぬくもりを感じた。


病院のベッドの上で握ってくれた手と同じぬくもりだ。


なぜだろう?すごく安心する。


真央がいてくれてよかった。


1人だったら立ち直れなかったかもしれない。


1人で平気な顔をしてても、やっぱり私は真央の言う通りの寂しがり屋だ。


意地っ張りで孤独な私を真央は救ってくれた。


おかげでほんのちょっぴりだけど、大人になれそうだ。


「ありがとう」


そう呟くと、真央は頷く代わりにきつく私を抱きしめた。


真央に抱きしめられて、私は小さな子供みたいに声を上げて泣いた。



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