フシギな片想い


「丁度いい物件が県外にあって、思い切って買っちゃったのよ。いつまでも賃貸マンションじゃって思ってたし、玲央さんのこともあるし、買うなら今かなと」


こういったことに関しては決断力と行動力に長けるママである。


「お互いの職場もそこからだったら十分通える距離だし。美雨や真央くんの通う高校も近いしね」


だから県外の高校を受験するように言ったの?


私が中学のクラスのみんなと別れるのがどんだけ辛かったかママは知らないでしょ?


私の事、考えてる振りしてても、結局、自分の事しか考えてないんだね。


いつもそう・・・


私の反抗的な視線を捉えて、にっこりとママは構わず続ける。


「ちなみに、1人暮らしするとかバカな考えは許さないわよ。あなたの家賃を面倒見るまでの経済的余裕ないから」


考えているお見通しと言わんばかりの余裕の笑みに、ぐっと唇を噛んだ。


絶対、嘘だと思った。


仕事命で女社長のママは明らかに高給取りだし、もし、それが本当だったら家なんか買うからでしょ!と突っ込みたかった。


「ねぇ、あなたはどう思ってるの?」


私は玲央先生の弟を振り返った。



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