フシギな片想い
まぁいいよ、真央が自然と話たくなる日が来るかもしれないし、その日を待とうじゃないか。
真央がまたまた先に歩き出したので、遅れちゃいけないと背中を追う。
数歩前を歩く真央が急に振り返ったと思ったら、おでこを小突かれた。
「何よ、また?」
さっき頭を小突かれたことを思い出し、口を尖らせながら、おでこを擦った。
真央は飄々とした顔つきで、「どこまでついて来るつもりだ?」と訊ねた。
きょとんとして、周りを見ると、いつの間にか公園を通り過ぎ、駅前商店街に出ていた。
「俺の学校がこっち側で、美雨の学校が向う側」
真央は駅の方を指さし、その後で私の通う学校がある坂の上を指さした。
「あぁ、そうか、ぼぅとしてた」
てへへと笑って誤魔化すと、真央はふぅと溜息を吐いた。
「鈍感。・・・色んな意味で」
ぼそりと呟くと、踵を返し、駅に向かって歩いて行く。
相変わらず一言多いんだからと真央の後ろ姿を見送りながら、ふっと笑う。
「じゃあ、また、家でね!」
そう背中に声を掛けると、真央は振り返らずに軽く片手を上げて答え、雑踏に消えて行った。