フシギな片想い
エピローグ
バイト前の時間潰しに、書店に入った。
漫画の単行本のコーナーをぶらぶらし、いつものように週刊漫画が並ぶ棚の前に立つ。
目ぼしい雑誌を見つけ、手を伸ばした所で、
「児玉くん」と誰かに声を掛けられた。
聞き覚えのない声に振り返ると、女の子が参考書を抱えて立っていた。
ええと、誰だっけ?と記憶を探るものの、名前が出て来ない。
その子の頭から足元まで視線を這わす。
白シャツに赤いリボンを付け、スカートは赤・緑・茶色のチェック____あぁ、美雨と同じ制服だと思い出した。
「確か、美雨の友達の・・・」
名前は何て言ったか・・・美雨の話によく出てくるのは覚えてるけど、友達の話はあんまり興味がないから聞いてる振りをすることが多い。
「そう、きゃー、覚えててくれたんだ?島崎芽衣子って言います。いやぁ、こんな所で会うなんて偶然~、さっき向うのコーナーで児玉くん見つけて、声掛けようかどうしようか迷ったんだけど、思い切ってよかったぁ~」
その子はまくし立てように、せかせかと話きった。
よく喋る子だなと印象を受けた。
そういえば少し変わった子だと美雨が言っていた気がする。
その子はニコニコしながら、俺を見上げている。