フシギな片想い


彼なら、私と同じ心境の彼なら、きっと味方になってくれると思った。


見た目ちょっと怖いけど、思い切って話掛けてみる。


「俺は別に・・・兄貴の好きなようにすればいい」


最後の牛フィレを咀嚼して、水で喉を潤した後でぼそりと呟いた。


お兄さんに似て、発展途上中だけど、いい声してる・・・ってそんな事で感動してる場合じゃなくて!


・・・クールだなっ!君のハートは氷で出来てるの?って位、クールな発言だった。


・・・どうでもいいんだ・・・


ナプキンで口元を拭う弟をじっと見つめた。


第1印象と変わらない、機嫌の悪そうな表情なのに、その瞳からは何の感情も読み取れなかった。


・・・何なの、コイツ・・・お兄ちゃんが誰と結婚しようが、同い年の女の子と1つ屋根の下で暮らすことになろうが関係ないの?


・・・何か私、1人だけ熱くなっちゃってバカみたいじゃん。


行き場のない怒りをじっとお腹の中に抑え付けて、頭を垂れた。


今日の日ほど、早く大人になりたいと思った日はない。


待ち望んでいた初恋の人との再会は、「ママの結婚前提の恋人として紹介される」という、なんともドラマティックな展開でやって来た。




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