フシギな片想い
初めて名前で呼んでもらって、嬉しいはずなのに切ない。
きっとそれは玲央さんがママの恋人だからだ。
「引っ越しの業者は1時間位前かな?作業を終えて帰って行ったよ。一応、荷物はそれぞれの部屋に運んでもらってるから」
ママに案内されたリビング兼キッチンで軽くお茶をしていると、玲央さんがそう報告してくれた。
家族団らんの場であるリビングは広かった。
システムキッチン完備、(ママは普段は料理しないくせに・・・)IHのコンロに、オーブンまでついてるし。
キッチンのスペースに新しく購入した食卓は、たぶん海外のデザイナーによるものだろう。
食卓の奥には数段の階段を上り、くつろぎスペースがあった。
大きな画面のテレビに、玲央さんのものかもしくは弟のものかw●iが、テレビ台の下に収納されている。
こたつのような正方形のローテーブルに、座椅子を伸ばしたようなふかふかした座り心地のよさそうなソファ。
マイクロパウダーの入った大きな丸いクッションが2つ、テーブルを挟むようにして置かれている。
テレビの脇には観葉植物。
その先はガラス張りになっており、サンルームと2重窓を挟んで芝生に覆われた庭へと続いている。
暗めの玄関先と違ってこちらは日当たりがよく、窓から入る日差しは眩しい。
家具は全て茶色を基調としたウッディ系。
全体的にシンプルですっきりとした部屋にまとまっている。