フシギな片想い
独り言のように玲央さんは言った。
少年のようにキラキラした目で空を仰ぐ。
窓にはまだ青空が広がっていたけれど、玲央さんの瞳には夜空と満点の星空が映っているみたい。
玲央さんの隣で、同じ毛布に包まって、星空を眺められたらどんなにステキだろう。
ふとそんなことを考えていて、妄想禁止!と頭をブルブルと振るった。
「よかった。玲央さんの要望もこの家に含まれてて、ママが勝手にあれこれ決めたって思ってたから」
梯子を降りた所でそう告げると、「子供っぽいって晴美さんには笑われたけどね」と玲央さんは笑った。
「ちなみに地下には防音室を作って貰ったんだ」
「この家、地下もあるんですか?」
「趣味の部屋と評して、ゆくゆくはホームシアターを作ろうかと」
いい!それ絶対、いい!!心の中で激しく同意したけれど、頭の中で冷静な私が、「それって、この共同生活、楽しみになってきてるんじゃない?」と囁いた。
いやいや、そんなことはない。
私はママと玲央さんの結婚に反対だし、こんな家だって、早く出て行きたいのだ。
高校3年間の我慢だ。
そう言い聞かせて、興味なさげに流した。