フシギな片想い


玄関の前?あの、車庫の真上に建つ、巨大な物置が?


荷物を解いているママに声を掛け、階段を降りるとそのまま家の外に出た。


石畳に沿って歩いて行くと、扉の前に立った。


扉をノックしても返事はない。


奥に回ってみて、窓を確認したけれど、電気すらついていなかった。


寝てるのかな?再び扉側に回り、ドアノブに手をかけた所で、


「何してんの?」


と後ろから声を掛けられた。


思わずびくんと体が強張り、振り返ると、不機嫌をそのまま顔に出した弟が立っていた。


出かけていたらしい。コンビニの袋をぶら下げている。


食事会の時以来、数週間ぶりに会う弟は、相変わらず怒っているみたいな表情だった。


玄関の照明で照らされた姿を目の前にして、緊張する。


細い眉と睨んでいるような目つきの悪さは健在で、ピアスの穴が増えてたし、高校生になるからなのか以前会った時より数段、髪の色が明るくなっていて、柄の悪さが倍になった。


ロンTに革ジャケットを羽織り、細身のジーンスの下はショートブーツ。


ジーンスのポケットからはジャラジャラしたキーチェーンが尻ポケットへと続いている。


爽やかでカジュアルな玲央さんと比べて、このロッカー気取りの弟は何だ?もう嫌悪感しかない。


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