フシギな片想い
玲央さんの作ってくれた蕎麦は出汁にこだわったらしく(お蕎麦は近くのお蕎麦さんで生麺を購入したらしいけど)、天ぷらも揚げたてのさくさくで、今まで食べた蕎麦の中で一番美味しかった。
ご飯を味わう余裕が出て来たということは、少しづつこの不思議な家族関係にも慣れていくのだろうか?
そんなの絶対に嫌だ。
とりあえず、あの弟に慣れることは暫くないだろうと思うと変な安心感がある。
「あ」
バスルームを出ると、細長いバッグを掲げて、屋根裏部屋への階段を上ろうとする玲央さんと鉢合わせた。
パジャマ姿とお風呂上りの紅潮した頬を見られるのが少し恥ずかしい。
「お風呂入ってたんだ?今日は疲れたろう?ゆっくり休んで」
にっこりと微笑みを絶やさずに、玲央さんが話掛ける。
私は何だか恥ずかしくなってしまって、俯いた。
「・・・玲央さんはこれから星を見るの?」
背中に背負った細いバッグの正体は天体望遠鏡らしい。
正解と言わんばかりにうんと頷く。
・・・いいなぁ、私も一緒に玲央さんと一緒に星がみたい。
思い切ってお願いしてみようかなぁ・・・迷っていた所で、