フシギな片想い
「玲央」
屋根裏部屋から声がした。
・・・ママが上にいるんだ・・・膨らんだ期待がみるみるうちにしぼんでいく。
ごくりと喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。
「おやすみなさい」
「あ、うん、おやすみ」
挨拶だけ交わすと、足早に自分の部屋に駆け込んだ。扉を背にして、へなへなと膝から崩れた。
昼間、屋根裏部屋に案内された時にした妄想が頭の中を駆け巡る。
でも、玲央さんの隣には私じゃなくてママがいる。
大きな声で叫びたくなる衝動を飲み込んで、立ち上がり、出窓を開けた。
外の空気を吸って、気持ちを落ち着かせようと思った。ひんやりとした空気が私の中に入り込む。
ゆっくりと呼吸をすると、強くて甘い花の香りがした。何の花だろう?
夜空にぽっかりと浮かぶ月に霞がかかっていた。明日は曇りになるのかな?
体が冷えてきたので、窓を閉めようと腕を伸ばした所で、ふと下に目がいった。
私の部屋から玲央さんの弟の小屋が見える。
窓からは微かな灯りが漏れていた。