フシギな片想い


今日は近所の散策に出てみることにした。


万が一、迷子になった時のために、GPSはONにして、ダウンロードした近辺地図を手掛かりに、とりあえず、通う高校まで行ってみようと思ったのだ。


玲央さんの仕事の休みは週末で、今日は主夫に専念するみたいだ。家を出る前にちらりとリビングを覗いたら、掃除機をかけていた。


玲央さんは高校を卒業した年から、弟と2人暮らしをしていたらしいので、家事はお手の物だとか。


休みの日になると、ぐでーとベッドに横になったままぴくりとも動かない、母親として使命を放棄したママに、爪の垢を煎じて飲んで欲しいくらいだ。


なら私が彼を手伝えばいいのだけれど、なんせぐうたらなママの血をひく私だ。


「機会があったら・・・」と遠回しにしてしまっている。


歩きやすいようにスニーカーを履いて、いざ、探検だ!


朝食を食べ終えたら、さっさと自室に籠ってしまうニートな弟の部屋を横目で見る。


部屋から音楽が漏れてきた。何の曲かは解らなかったけれど、ロックだというのは解った。


あまり爆音で、近所の人に怒られませんようにと祈って、階段を駆け下りた。


学校までは徒歩15分程だった。


新居がある住宅地を抜けると角に大きなタコ型のすべり台がある公園がある。


公園に面した通りを歩いて行くと商店街に出る。


北に進むと商店街を抜けて駅があり、逆に南に進むと商店街を切れ目から、坂道が続いている。


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