フシギな片想い


あれ?おかしいな?タコのすべり台がある公園を目印にしてたのに、公園すら見当たらない。


きょろきょろと辺りを見渡し、ケータイで現在地を確認する。


画面を食い入るように見つめていると、後ろからやって来た車がクラクションを鳴らした。


びっくりして振り返ると、車は私の真後ろで止まった。見たことあるバン_____玲央さん?


「美雨ちゃん」


窓を開け、玲央さんが顔を出す。


「部屋ノックしたんだけど返事なかったから、外に出てたんだね」


「あ、すみません、何も言わずに出掛けちゃって、玲央さんに会えて良かった。実は迷ってたんです。この道をまっすぐ行けば家に着きますか?」


運転席を覗き、訊ねる。


うん、突き当りを左折したら、家の前の通りにつながるんだけどと玲央さんは説明してくれた。


「僕も丁度、家に帰る所だから、乗ってたら?」


笑顔でそう言われたら断わる理由が見当たらない。お願いしますと頭を下げて、助手席に乗り込んだ。


車用のコロンの匂いにきちんと整理された車内。灰皿を使った形跡がないので、どうやらタバコは吸わないらしい。


弟の部屋から聞こえてきた騒がしいロックとは違って、心地よいノ●・ジョーンズが声が車内に響く。


あぁ、兄弟で性格も印象も真逆なのかな?玲央さんは憧れだったあの頃の印象のまま変わりなく、実際にこうして話していても、いい人なんだぁってしみじみ思うけど・・・あの、弟は・・・


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