フシギな片想い
「真央と仲良くしてやってね」
車を発進させると、玲央さんがぽつりと呟いた。
私が弟を苦手に思っているのが見透かされているようで、どきりとした。
「はい」そう答えればよかったのに、答えることが出来なかった。
「真央は人見知り癖があるっていうか、緊張してると思うんだ。男子校で同い年の女の子との接点もないし、どう話したらいいのか解らないみたいで、だから、美雨ちゃんにも冷めた態度で・・・嫌な気分にさせてごめんね」
「いえ、そんなことないです」
そんなことあるけど。
ハンドルを握る玲央さんの申し訳なさそうな表情に、ちくりと胸が痛み、思い切り否定してしまった。
「いや、真央のことじゃなくて・・・晴美さんと僕のこと。そりゃ、戸惑うよね、何の前触れもなく、どこの馬の骨か解らない男兄弟と一緒に住むことになるなんて」
ママと玲央さんの関係のことか。
頭で考えないようにしてても、玲央さん本人の口からそう告げられると、ずしりとくるものがある。
「ちなみに、玲央さんは弟さんにママとの関係を話してたんですか?」
うんと玲央さんは頷いた。
「僕らが児童養護施設の出身だって話は晴美さんから聞いてる?」
はいと今度は私が頷いた。