フシギな片想い
そう結論が出た所で、家に着いたみたいだ。
ガレージのシャッターが上がり、駐車する。
エンジンを切った所で、降りようとすると、「美雨ちゃん」と玲央さんが急に真面目な顔になって私の名前を呼んだ。
その表情に思わず背筋がすっと伸びる。
「美雨ちゃんや真央が難しい年頃なのは解ってるつもりなんだ。・・・でも、晴美さんは出会った時から僕の運命の人だった。2人の気持ちを無視して、彼女と一緒にいたい僕の我儘を貫いてしまって、本当に申し訳ないと思ってる。僕の事を恨んでもいい」
恨むだなんて・・・何も言えずにただ玲央さんを見つめた。
憂いを帯びた表情がキレイだなとぼんやりと思った。
「努力するから、本当の家族になれるように」
強い視線には玲央さんの誓いが込められているみたい。
ママのこと、大好きなんですね。
玲央さんは小学生だった私のことなんて覚えてなかった。
初恋をそっと胸しまったのに、運命の再会から知らない間にまたほのかな思いが育っていたみたいだ。
打ちのめされるばかりなのに、この思いは雑草みたいに私の心に根を下ろして、摘んでも摘んでも生えてくる。
「そうだ!コンビニ寄ろうと思ってたのに忘れてた。すみません、ちょっと行ってきます」
沈黙に耐えられなくなって、苦しい言い訳をして、私は車を降りた。