フシギな片想い
玲央さんは、私の表情を伺ってはいたものの、自分の気持ちを吐露したせいか、すっきりとした顔をしていた。
そんな玲央さんに背を向け、助手席の扉を閉めると、駆け出した。
げっ!
家から一番近い最寄りのコンビニに入り、雑誌のコーナーに向かうと、そこに弟の姿があった。
心の一声は「げっ!」だったけれど、さっき自分に誓った「まずは挨拶から」を実行しようと、隣に立ち、
「やぁ、弟くん!偶然だね」と肩を叩いた。
ぎろりと睨みつける視線にたじろいてしまう。
あぁ、今時、「やぁ」何て声掛ける奴絶対いない、しかも変に力んで、棒読みだったし。
何故か中学の英語の教科書の訳を思い出した。
「やぁ、ケン」
「やぁ、メアリー」
弟は何事もなかったかのように、再び手にした雑誌に目を戻した。
・・・無視か。
「何読んでるの?あ、アルバイト誌?バイト探してるんだ」
負けずに質問をぶつけるものの、面倒臭そうに私を一瞥すると、手元の雑誌を閉じてラックに戻し、ドリンクの並ぶ棚へと移動してしまった。
話しかけるなっていうこと?ムカツク奴。