フシギな片想い
もういいやと開き直り、雑誌とお菓子を選んでレジに向かった。
こうなったら、こっちもとことん無視してやる。
店員に金額を表示され、バッグの中を探った所で青ざめた。
どうやら、財布を自分の部屋に置いてきてしまったらしい。
ぶらぶらお散歩で、途中店に立ち寄ったりしなかったから、気付かなかった。
店員が「●●円になります」と繰り返した。
バッグに手を突っ込んだまま呆然としている私を訝しげに見ている。
財布忘れたから全部キャンセルでいいですか?っていうの、恥ずかし過ぎる。
「あの、お客さん?」
顔を覗き込まれた所で、我に返った。
あ、すみませんと謝り、「あの・・・」と言いかけたところで、机の上にミネラルウォーターのペットボトルとフ●スクが置かれた。
「これも一緒で」
振り返ると弟が立っていた。弟は私の分のお会計を済ませ、外に出ると、自分のものを抜き取って、ビニール袋ごと私に差し出した。
受け取ったものの、思いがけない行動に目が丸くなる。
弟は、ポケットからケータイを取り出し、時間を確認すると、家とは反対の方向へ歩き出した。