フシギな片想い
「弟くん!」
伝えなきゃと思い、後ろ姿に声を掛ける。
一呼吸おいて、弟は振り返った。
「これ、ありがとう」
コンビニの袋を掲げながら、お礼を言った。
何を考えているのか全く読めない、冷めた視線を送る弟がぼそりと呟いた。
「お前の弟じゃねぇし・・・それに俺、名前あるんだけど?」
突っ込まれた・・・真央はそのまま踵を返し、住宅街の中へ消えて行った。
夕方、出窓からぼんやりと沈む夕日を眺めていたら、真央が階段を上っているのが見えた。
部屋に入って行くのを確認して、自分の部屋を飛び出した。
真央の部屋と続く扉をノックし、「私、美雨。ちょっと、いいかな?」と中へ向かって声を掛ける。
返事がないと思ったら、すっと扉が開いて、真央が出て来た。どうやら自分のテリトリーに私を入れるつもりはないらしい。
扉を閉めて、腕を組みながら壁に寄り掛かる。
「何?」
いつも通りの怒ってるみたいな表情で、訊ねる。その態度が見下されているみたいに思えてくる。