フシギな片想い


こんな男(ひと)と一緒に住んでて、恋しない方がオカシイよ、きっと。


そして、そんなパーフェクトマンの兄と比べると残念なのが弟の真央だ。


端整な顔立ちは兄譲りな所はあるものの、愛想ないし、極端に喋らないし、自分の部屋に籠ってばっかだし、(どっかに出かけてるのかもしれないけれど)何考えてるか解らないし。


そして、夜更かししてるのか低血圧なのか、とにかく朝起きてこない。


玲央さんは「朝食は家族全員で食べること」とモットーを掲げている。


いつもは真央を起こすのは玲央さんの役目で、「なかなか起きない」と疲れた様子の玲央さんの後ろに無理矢理起こされて、機嫌の悪い真央がのっそりとリビングに現れるんだけど。


2人のラブラブな会話を聞きたくなくて、今日は私がその役目を引き受けてしまった。


真央の部屋の前に立ちドンドンと扉を叩く。


「真央~、起きろ~」


だんだん扉を叩く音が大きくなっているにも関わらず、中からは反応なし。


もしかして爆睡中?試しにドアノブに手をかけると、扉は簡単に開いた。


鍵、閉めてないんだ・・・なんて不用心な。


「入るよ~」


一応、断わりを入れてから真央の部屋に入る。


そういえば真央の部屋に入るのって初めてだ。


家の前に建つ、怪しげな巨大物置の中はきちんとした部屋になっていた。


私の部屋と同様、白を基調とした空間にアクセントは若草色。


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