フシギな片想い
フードを上げたり下げたりする。しかもこの椅子、回転式!いいなぁ、私の部屋にも欲しい。
・・・とか楽しんでいる場合じゃなかった。
真央を起こさないとね。
「真央、朝だよ。起きないと入学式遅刻するよ」
掛布団の上から揺らしてみたけれど微動だにしない。
布団にすっぽりかぶさったままの真央の耳元で「おはよー」と叫んでみるものの、これもまた反応無し。
玲央さんが毎朝、真央を起こす度に疲れているのが解る。
このダメダメ弟が!
ばっと布団を引きはがすと、うぅと唸りながら、真央の体は縮こまった。耳たぶを掴んで、思い切り息を吸い、「お・き・ろー」と叫んだ。さすがにぱっと両目が開き、その目が私を捉えた。
あ、起きた。
寝起きで頭が回転していないのか真央は目をぱちくりさせながら、私を見ていた。状況を把握出来ていないみたいだ。
「お前、何勝手に人の部屋・・・」
のっそりと起き上り、ベッドの上で胡坐をかくと、右手で額を抑え、がっくりと項垂れる。
「だって、扉叩いても起きないし、鍵開いてたし、朝食はみんな揃って食べるのがこの家のルールだって、玲央さんが・・・」
「解ったからもう出てげ。着替えるから」