フシギな片想い


しっしと片手を払われ、合図された。


何その態度、起こし方は多少荒かったかもしれないけど、高校生になったんだから、ケータイのアラームかけて自分で起きろ!心の中でさんざん文句を言った。


本人を目の前にしては、睨まれたら怖いと思って何も言えなかった。




新しい学校生活が始まってから、1週間が経った。


初めての校舎に初めての教室。


今まで共学だったのが、急にクラスメイトは女の子だけになるから、どうなのかな?友達出来るのかな?って不安だったけれど、環境の変化による適応能力は優れているらしく、早速、新しい友達が出来た。


出席番号順で並ぶ席で偶然、隣の席になった子なのだけれど、彼女の名前は島崎芽衣子(しまざきめいこ)と言う。


人懐っこい笑みで、初対面の私にばんばん話しかける芽衣子は、いかにも女の子ですって感じの子だった。


「かわいい~」が口癖で、私が付けていたヘアピンを見て、「そのピンかわいいね」って話掛けてくれたのがきっかけだった。


私の持ってるペンケースを見て、かわいい~。


ハンカチを見て、かわいい~。


おまけに、担任の中年教師のネクタイがパンダちゃんなのを見て、かわいい~。


連発しすぎだと突っ込みたくなるけれど、本人はいつもニコニコしていて、嫌味がない。


きっと、思いついたかわいいをすぐ声に出しちゃうんだろうなと思うと、芽衣子って憎めない子だ。


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