フシギな片想い
商店街をそのまま進んで、駅から下りの電車に乗った。
芽衣子の家は学校のある駅から3つ程離れた駅らしい。
そう説明を受けた後なのに、芽衣子は何故か2つ目の駅で降りた。
「芽衣子の家に行くんじゃないの?」
芽衣子の後について、電車を降りた私は首を傾げながら訊ねた。
「私の家に行くんじゃないんだなぁ」と芽衣子は含み笑いを浮かべて、こっちと出口に案内する。
「通ってた中学校がある駅なんだ」
エスカレーターを下って、駅前のロータリーに出る。
芽衣子は横断歩道を渡り、あ、こっちねと案内する。
初めて降り立つ場所に、きょろきょろと辺りを確認しながら歩く。
ロータリーから路地に入ると居酒屋チェーン店や食べ物屋さんの入った雑居ビルが並ぶ。
芽衣子はずんずん先を進む。
やがて、路地を抜けると、駅から離れた位置にある大通りの交わる場所にぽつんと建つ、ファミレスが見えた。
「あそこ」と芽衣子は嬉しそうに指を差す。
そのファミレスならさっきの駅前にもあるのに、何でわざわざここなの?
不思議に思いつつも、芽衣子の後をついてファミレスに入った。