フシギな片想い
感じのいいお姉さんに窓際の禁煙席に案内された。
芽衣子は席に着くと、メニューを開いたまま、メニューは見ずに辺りを見渡している。
「どうしたの?その挙動不審ぶりは・・・」
思わず訊ねると、芽衣子はゴメンと舌を出した。
「実は、この間、中学の友達とここに来た時に、偶然会ったの・・・私の王子様に・・・」
「王子様?芽衣子、好きな人いるの?」
おぉ、そういうことだったのかと思わず体が前のめりになる。
自分に浮いた話はないけれど、友達の恋バナを聞くのは好きだ。
好きな人なんてとんでもない!と芽衣子は激しく首を振った。
「憧れなの。話したこともないし、相手は私の名前も知らないかも・・・」
恥ずかしそうに下を向きながら話す芽衣子は、かわいらしかった。
「同じ塾だったんだ・・・中3で受験だし、周りもピリピリしてたし、同じクラスだったのに、話掛ける勇気がなくて」
玲央さんが好きだった小学生の頃の私の気持ちと重なり、うんうん解るよその気持ちと大きく頷く。
「彼、男子校だったし、休み時間は同じ学校の男の子たちとグループになってたし、肉食系の子はそれでも、ぐいぐい迫ってたけど・・・」
まるで昔の私を見てるようだった。モテる男の子に憧れてたんだね。