フシギな片想い
「彼の学校は知ってるから、これで最後だって思って、卒業式の日に校門に張って、「ボタン下さい」って勇気と出してお願いして、ようやくゲットした宝物なの」
芽衣子は、そう言うと定期入れをカバンから取り出した。
そこにはキーホルダーと一緒に小さな金色のボタンが付けられていた。
「袖のボタンだったけど」
そう言ってにっこりとボタンを見つめる。
・・・芽衣子は私よりも行動力があるんだな。
私は写真を撮ってもらうだけで精いっぱいだった。
玲央さんがどこの大学に通ってるか調べるとか、玲央さんの持ち物を何か貰えないかお願いするとか、当時の私は考えもしなかったもの。
「結局、その時はボタンを貰うのが精いっぱいで、ケータイの番号聞いたりとかラ●ン交換したりとか出来なかったんだけどね、彼がどこの高校に行くのかもわからないままだったし」
「でも、運命的な再会が!何と、王子様がここでバイト始めてたの!!」
目をキラキラさせながら、芽衣子は力説していた。
その勢いに私はほぅと頷いた。
1人でここに来る勇気はなかったから、私を誘ったらしい。
でも、そういうことなら協力してあげよう。
いた!こっち来た!と芽衣子は後ろを確認し、下を向いた。