フシギな片想い
両手を組んで空を見つめながら妄想する芽衣子についていけない。
孤高のプリンスって・・・私にとっては何考えてるか解らない生意気な奴なんだけど。
でも、妄想するのは自由だから、芽衣子にあいつは不愛想だぞと告げ口するのは辞めておこう。
「もし、芽衣子が真央を好きでも、私、芽衣子に協力出来るかわかんないけど、許してね」
始めに言っておくけどと前置きを添えて、芽衣子を見つめた。
「私は一緒に暮らしてても、ママの結婚には反対だし、真央も私も急に同居することになったから、まだお互いわだかまりがあるっていうか、ろくに話したことすらなくて、正直、真央とどうやって話したらいいかって手探り状態なんだ」
今まで、友達の恋愛相談に乗って、キューピット的な役割を果たしたこともあったけれど、それはお互いが友達同士だからできることだ。
真央と私の心の距離は離れすぎている。
そもそも真央が何を考えてるのか解らないから、ママとお兄さんの再婚をどう思ってるのかとか、私のことどう思ってるのかとか全く解らない。
喋んないし、でも、睨まれたり、無視されたりするのは苦手だからかもしれなかった。
それはお互い様だけど。
「ゴメンね」
芽衣子を覗き込むと、芽衣子は目をぱちくりさせて、「何言ってるの?」と逆に訊き返してきた。
「最初に言ったじゃん!好きとかそういうんじゃないって!児玉くんは王子様だって。遠くから見てるだけで幸せなんだって、アイドルみたいなもんなの」