フシギな片想い


「え?だって、貰ったボタン、宝物だって、真央のこと話してる芽衣子って恋してる女の子の顔だったし」


「疑似恋愛だって解ってるもん!児玉くんを王子様に見立てて、色々妄想してるのが楽しいの。だから、ケータイの番号とか聞けなかったのは、お友達になってって言う勇気がなかったのもあるけど、私の中で児玉くんがファンタジーでもあるからなの」


「はぁ・・・」


何言ってるんだろう?この子・・・芽衣子の中では真央は「憧れの王子様」らしい。


触れず話さず、見ているだけでいいと?ぷっと笑いがこみ上げてきて、思わず笑い出してしまった。


「何か芽衣子って変わってる!」


「美雨に言われたくないってば!あ、でも、美雨ん家には今度遊びに行きたい」


ちょっと変わった子だけど、親友になれそうだ。


「うん、今度ね」と私たちは約束をした。




「楽しそうだね、何かいいことあった?」


夕食の最中に玲央さんがにこにこしながら訊ねてきた。


今日はママが残業で食卓を囲むのは児玉兄弟と私の3人だ。


ママがいない分、いつも胸の辺りにあるモヤモヤが今日は晴れている気がしてしまう。


「え?やだな、私、笑ってました?」


箸を持ったまま頬を叩いた。


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