フシギな片想い


「ゴールデンウィークって何か予定あるの?」


夕食の手伝いをしていると、玲央さんがぐさりとくることを笑顔で訊いてきた。


「それが、ママも海外出張だし、友達もそれぞれ予定があって・・・」


予定がない寂しい奴ですと自虐する。明らかに落ち込んでいる私に気付いたのか、


「僕は仕事のある日もあるんだけど、何日かは休みだから、せっかくだから出掛けようか?」


「え?いいんですか?」


玲央さんの貴重な休みを私のために使っても?それに、出かけるってそれってデートってことですよね?やった!と思わず両手を握りしめた。


「引っ越してからバタバタしてて、ゆっくりする機会ってあんまりなかったから、真央と3人で、どうかな?」


何だ、真央も一緒かとテンションが急に下がる。そうですねと笑顔を取り繕って、相槌を打った。




そしてゴールデンウィークがやって来た。


ママはこの大型連休が始まる前にトランクを引きながら、イタリアへと旅立って行った。


雲1つない快晴のぽかぽか陽気、どうやら今回は、神様は私に味方をしてくれたらしい。


新しいシャツに袖を通す。


ドライブで遠出するので、ショーパンツにショートブーツを合わせて、ガーリー過ぎず、子供っぽくない楽な服装を選んだ。


「用意できた?」


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