フシギな片想い
玄関を出ると、ガレージから玲央さんがこちらを見上げた。鍵を閉めたのを確認して、階段を下りる。
丁度、部屋から出てきた真央が私を追い越した。
真央はそのままガレージに進み、隅に停めてあるロードバイクに跨った。
「夕方には帰って来るから」
玲央さんが声を掛けると片手を上げて返事をする。そのまま、真央は住宅街に消えて行った。
「僕たちもそろそろ行こうか」と玲央さんが助手席の扉を開く。
私はすみませんと頭を下げて、助手席に乗り込んだ。
神様もたまには私の見方になってくれるパート2。
玲央さんのゴールデンウィークに3人でどっかに出かけようの提案は、「俺、無理、バイト」真央の3語で瞬殺された。
せっかくの休みにも真央はバイトを入れたようだ。しかも昼から夜にかけてのロングラン。
「何か欲しい物があるのかな」と玲央さんは考えていたけれど、真央がバイトに精を出したいなら仕方ない。
金髪に近い茶髪で、ピアスの穴も多いのに、よく面接受かったなと思ったけれど、ホール担当はキャスケットをかぶるし、就労時間にピアスを外して置けば問題はないとのことらしい。
全部玲央さんから聞いた話だけど。
というワケで、今日は玲央さんと人生初のデートをすることになった。
最初はガチガチに体が強張っていた私も、玲央さんのまったりとした口調と、ナイスなドライブミュージックで、時間が経つに連れ、緊張が少しづつほどけていった。