フシギな片想い
初恋、破れたり。
小学6年生の時、当時仲の良かった友達の付き合いで、夏休みの期間だけ塾の夏期講習を受講したことがあった。
私が通っていた小学校は県立で、そのまま何もしなくても学区内の中学校に進学出来るのだけれど、その友達のお母さんは私立のお嬢様学校の出身らしく、「中学校からは私立」が絶対条件で、中学受験のために塾に通っていたのだった。
その塾では知り合いもいなくて、同じ学校の子たちでグループになるので、完全にアウェイだとその子はよく嘆いていた。
勉強をしに行ってるのだから、友達作りに奮闘しなくてもいいんじゃないかと思ったけれど、夏休みはそうもいかないらしい。
夏期講習は午前と午後の部に別れており、お昼休憩が入る。
1人で食べるお昼ご飯程、寂しいものはないとその子は熱弁した。
春休みの時がそうで、毎日1人でお昼ご飯を食べていたら、「あの子は1人でいるのが好きなんだね」と思われ、ますます孤独なのだとか・・・乙女心は複雑なのだ。
私なんか家に帰っても、いつも1人だっていうのに・・・でもこれは、自分の運命なんだと言い聞かせるしかないので、ぐっと飲み込む。
何だかんだ言っても、友達思いで夏休みの予定も特にない私は、期間限定でその塾の生徒になったのだった。
有名進学塾でもないし、チェーン展開もしてなさそうなその塾は個人経営の塾だった。
一応、入塾の際にテストがあり、生徒のレベル分けをする。
4クラスある内の私は上から3つ目のCクラス、友達は4つ目のDクラス、つまり一番下のクラスだった。
中学受験をしない心の余裕からか、私は周りの子と比べて、のんびりと授業を受けることが出来た。