フシギな片想い


家に着く頃にはすっかり暗くなっていた。道路が混んでいて、思っていたよりも時間が掛かった。


始めの緊張のせいか、色んな所を回って疲れたのか私は帰りの車で眠ってしまった。


家に着いた所を玲央さんに起こされて目が覚めた。


「帰りが思ってたよりも遅くなっちゃったから、今日の夕飯は宅配ピザでもいい?」


1日車を運転していた玲央さんはさすがに疲れたらしく、リビングに入るなり、宅配ピザのパンフレットを広げた。


ピザが届くまで少し時間がかかるので、先にお風呂に入った。


部屋着に着替えて、リビングに降りて行くと、すでにピザが届いていて、玲央さんが取り皿の準備をしていた。


今夜は食卓じゃなくて、ソファで食べようかと玲央さんが提案する。テレビの前に2人で並んで座る。


「どれが食べたい?」


「私、これ!」


1枚で4つの味を楽しめるピザ、玲央さんが器用に取り皿にピザを取り分けてくれる。


お腹ぺこぺこだったので、玲央さんも私も暫く黙々とピザにかぶりついていた。


家の中がしんとしていて、音が欲しいと思った私はテレビをつけた。バラエティー番組にチャンネルを合わせ、2人で眺めていた。


「美雨ちゃん最近、よく食べるようになったね」


ピザを口に運びながら、玲央さんが訊ねてきた。大食いってこと?急に恥ずかしくなり、ピザを取ろうとしていた手を引っこめた。


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