フシギな片想い


そういう意味じゃなくてと玲央さんが私が取ろうとしていたピザを取り、皿に乗せてくれた。


「一緒に暮らし始めた時は食が細くて、顔色も悪くて成長期なのにって心配してたんだ。美雨ちゃんの食生活のこと晴美さんに訊いたら、お金だけ渡してたから何を食べてるか解らないって聞いた時にはびっくりしたよ」


その答えママらしいと苦笑する。


「だって、玲央さんが作ってくれるご飯がおいしいから、たくさん食べちゃうんです」


ポツリと呟くと、玲央さんは顔をくしゃっとさせて笑った。


「それは主夫冥利に尽きるなぁ。これからも美雨ちゃんにおいしいって言って貰えるように頑張るよ」


「よろしくお願いします」と頭を下げて、テレビに向き直った。


玲央さん、やめて下さい。


そんな笑顔を見せられたら、ときめいてしまいます。


「あ、9時から映画やるね。見たかった映画だ」


番組表を確認して、玲央さんが声を上げた。


真央の分のピザを食卓に残して、食事が終わり、玲央さんが食後に紅茶を淹れてくれた。


飲みながら、ゆっくりとソファで過ごす。


映画が始まるのを待った。


他愛のない話をして、少しの沈黙が訪れる。


こうして、玲央さんの隣に座ってお茶を飲んでいるなんて、小学生の頃の私が想像出来ただろうか?



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