フシギな片想い


ソファの上で膝を立て、背もたれに寄り掛かり、ふぅと息を吐く。


ふいに無口になった玲央さん頭が私の右肩に乗っかった。


びっくりして玲央さんを見ると、すーすーと寝息を立てていた。


寝ちゃったんだ。


玲央さんの顔が近くにあることに、私の右半身がものすごく緊張している。


肩に力が入ってしまい、呼吸が荒くなる。


このままでいたい気持ちはあるけれど・・・立ち上がり、なんとかソファの上に玲央さんを寝かせた。


ローテーブルの下にある膝掛を玲央さんに掛ける。


玲央さんが見たかった映画は録画することにした。


テレビを消すと、広いリビングに壁時計の秒針の音が響いた。


チクタク、チクタク


床に座り、玲央さんの寝顔を見つめた。


柔らかい猫毛に長い睫、通った鼻筋に形のいい唇。


チク、タク、チク、タク・・・


響いているのは秒針?それとも、私の鼓動?


玲央さんの柔らかい髪に触れてみた。心地よさそうな息遣いが聞こえる。


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