フシギな片想い


「ねぇ、美雨、あそこは何?倉庫?」


「あぁ、あそこが真央の部屋だよ」


「えぇ、児玉くんの部屋って外にあるの?」


車庫の真上に建つ、プレハブのような真央の部屋を見て、芽衣子の目の輝きが増した。


「中、見たいの?」


そう訊ねると、芽衣子は激しく首を縦に振った。


「放課後は友達んちに行くって言ってたから、まだ帰って来てないと思うよ」


残念~と芽衣子はぷくっと両頬を膨らませた。


真央が帰って来てから、部屋に訪ねてみてもいいけど、朝起こされる以外に人に部屋に上がられるの嫌だって言ってたし、承諾してくれる可能性は低いけど。




「児玉くんのお兄さんもステキだね」


玄関先で玲央さんに迎えてもらって、ご機嫌の芽衣子は私の部屋に入るなり、興奮した様子で私に語る。


「どっちかっていうと、真央よりお兄さんの方が王子様っぽくない?」


私の意見に芽衣子はえ~!?と否定的である。


「お兄さんは、王子様っていうより、執事系だよ~。あの、イケボで「お帰りなさいませ、お嬢様」って是非言ってもらいたい!」
< 85 / 172 >

この作品をシェア

pagetop