フシギな片想い
「ねぇ、美雨、あそこは何?倉庫?」
「あぁ、あそこが真央の部屋だよ」
「えぇ、児玉くんの部屋って外にあるの?」
車庫の真上に建つ、プレハブのような真央の部屋を見て、芽衣子の目の輝きが増した。
「中、見たいの?」
そう訊ねると、芽衣子は激しく首を縦に振った。
「放課後は友達んちに行くって言ってたから、まだ帰って来てないと思うよ」
残念~と芽衣子はぷくっと両頬を膨らませた。
真央が帰って来てから、部屋に訪ねてみてもいいけど、朝起こされる以外に人に部屋に上がられるの嫌だって言ってたし、承諾してくれる可能性は低いけど。
「児玉くんのお兄さんもステキだね」
玄関先で玲央さんに迎えてもらって、ご機嫌の芽衣子は私の部屋に入るなり、興奮した様子で私に語る。
「どっちかっていうと、真央よりお兄さんの方が王子様っぽくない?」
私の意見に芽衣子はえ~!?と否定的である。
「お兄さんは、王子様っていうより、執事系だよ~。あの、イケボで「お帰りなさいませ、お嬢様」って是非言ってもらいたい!」