フシギな片想い


「玲央先生!」


弾んだ女の子の声に思わず耳が反応してしまった。


振り向くと、細身のスーツを着たすらりと背の高い男性に、生徒である女の子たちが群れていた。


「玲央先生、午後の小テスト、何が出るか教えてよ~」


「ダメだよ」


「え~、ケチ~」


彼の名前は児玉玲央(こだまれお)先生という。


算数の担当だ。


すらりと身長が高く、爽やか過ぎる程の笑顔を持つイケメンだ。


教え方も解りやすく、丁寧で、何しろ声がいいのだ。


ずっと声を聴いていたいくらいに心に響く声の持ち主だった。(顔のせいでそう聞こえるのかしれないけど)


たまに頭の後ろにぴろんと現れる寝癖や、右肩上がりになってしまう板書も、全てがパーフェクトじゃないところも、年上の男性に憧れる背伸びしたい私にはぐっと来る所があった。


そんなステキな玲央先生、塾内での人気も爆発的だった。


なので噂もよく耳にした。


先生は大学4年生で、どこどこに就職が内定してるのだとか。


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