フシギな片想い


べろんべろんに酔っ払ったママを見て、芽衣子が引いたらどうしようかと思い、ワイングラスをママの手から引き離そうとしたら、


「ちょっとぉ~、気持ち良く飲んでるんだから!」


と逆ギレされた。


「(ママが絡んで)ゴメンね、芽衣子」とママ越しに芽衣子に声を掛けると、「全然、楽しい!美雨のママ最高!!」と親指を立てられた。


安心したけど、やっぱり芽衣子って普通の子と違うかもって思った。


「大体、聞いてよ芽衣子ちゃん。この子ったら、変に大人びてるから、全然かわいくないの!芽衣子ちゃんみたいにキャピキャピしてないの!」


キャピキャピって・・・私の友達に私の愚痴を言うのやめてよ。


「確かに美雨は、他のクラスメイトの子たちと比べると、落ち着いてるかも」


「でしょぉ?15歳なのにハツラツとしてないの、覇気がないの、青春してないの!」


芽衣子の前で人の悪口をべらべらと・・・


「ママ、いい加減に・・・」


「ほらぁ、またそうやって、ママに怒る~」


「これじゃあ、どっちがお母さんか解らないですね!」


芽衣子ちゃんうまい!とママは上機嫌でワハハハと芽衣子と笑い合っている。


そんなに芽衣子と気が合うなら、芽衣子が娘の方が良かったね、きっと。


ムッとしたまま、残りのプリンを口の中に流し込んで、立ち上がった。付き合ってらんない。


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