フシギな片想い
「あれ?美雨ちゃん、どこ行くの?」
廊下に出ると、トイレに行っていた玲央さんと鉢合わせした。
「芽衣子とママが盛り上がってるみたいだから、先にお風呂に入っちゃおうかと・・・玲央さんも飲み過ぎないで下さいね、顔、真っ赤ですよ」
「大丈夫」と玲央さんはいつもの笑みを浮かべて、リビングに入って行った。
背中を見送って、手すりに手を伸ばした。
リビングからは楽しそうな芽衣子とママの笑い声が聞こえてくる。
自分の家にいるのに、この孤独感は何なんだろう?もし、真央がここにいたら、少しは違うのかな?そんな事をぼんやりと考えながら、2階へと向かった。
気持ち良く酔っ払ってべろんべろんになったママを、玲央さんと2人で部屋のベッドに運んだ。
芽衣子がお風呂に入っている間、玲央さんが芽衣子の分の布団を用意してくれる。
芽衣子がお風呂から上がってくるのとすれ違いに、玲央さんは部屋を出て行った。
壁に掛かった梯子に手をかけ、屋根裏に上がる。
どうやら、今夜は星を眺めるみたいだ。
「屋根裏部屋もあるんだね」
玲央さんと「おやすみなさい」の挨拶をした芽衣子が部屋に入ってくるなり、そう告げた。
「うん、玲央さんの趣味の部屋。天体望遠鏡が置いてあるんだ」