フシギな片想い
「どこがって、まず、高校生で思春期の私たちは大人から見ると難しいお年頃のワケだ。ましてや、美雨と児玉くんは同い年でしょ?いくら何でも、兄弟じゃない同い年の子が家の中にいたら動揺するよ。しかも、数回会っただけで、一緒に住むことになったんでしょ?だから、児玉くんの部屋を家の前に作ったんじゃないかな?って思ったの」
「孤立した部屋を作るのは真央自身の希望だって玲央さんが言ってた。リフォームをする時に提案したんだって。真央は玲央さんがママと付き合ってることも、一緒に暮らし始めることも最初から知ってたみたいだし」
寡黙な真央にとってはその方が気が楽なのだろうって思った。
朝ごはんは一緒に食べるってルールを掲げたとしても、何度も同じ家の中ですれ違うのは気まずいし、何て声掛けたらいいか解らないし、今となっては随分彼とも打ち解けた気がするのだけれど(と私が一方的に思っているだけかもしれない)。
そうなのかぁ・・・と芽衣子は呟く。
「それにさ、美雨のママも玲央さんも、お互いがすごく愛し合ってるのが解るのに、2人の部屋は別々じゃない?しかも、それぞれの部屋を1階と2階に分けてあるし、私たちも小さなお子ちゃまじゃないし、愛し合った男女が何を求めるかを知ってるワケだ」
「何か、だんだん話が深夜っぽくなって来たね・・・」
「でも、2人にはそういうオトナの厭らしさが全くないよね。青春映画を見ているような爽やかな触れ合いで、見ていて微笑ましいくらい。それって、美雨や児玉くんのことを考えているからじゃないのかな?この家の中じゃ、間違いを起こしちゃいけないみたいな?」
家の中でも堂々とキスをしたり、玲央さんがママをお姫様抱っこして寝室に向かったり、そういった光景を見ていたら、どうだろう?
ますますママに対する嫌悪感が増してたかもしれない。
たまにじゃれ合っているを見て嫉妬もするけれど、芽衣子に言われてみると、確かに不必要な触れ合いはない気がする。
陰でしてるのかもしれないけれど、少なくても私の知ってる範囲ではない。