フシギな片想い
「だから、私から見ると、同棲したいって意思を貫くのは2人の自己中心的な考えだって思うかもしれないけれど、やっぱりお互い、美雨も児玉くんも家族だからって、きちんと考えてるんだなって思ったよ。だから、そんな風に大切にされてる美雨と児玉くんが羨ましいって思ったんだ」
私が家族に大切にされてないってワケじゃないんだけどねと芽衣子は笑って付け足した。
「でも、美雨ん家の場合、美人でカッコイイキャリアウーマンのママにイケメン兄弟っていうドラマティックな展開だったから、妄想大好き少女の私としては、そそられるの」
最後は芽衣子らしい感想で締めくくられて、思わず笑ってしまった。
かわいいものが大好きな妄想少女の分析に感心した。
誰とでも壁を作らず、打ち解けられるのは芽衣子も同じだ。
いつも元気すぎるくらい元気で、自分の気持ちをストレートに言うことが出来る素直な芽衣子の方が、私は羨ましい。
ふわぁぁと欠伸をすると、芽衣子は掛布団を頭まで被った。
「今日は楽しかったなぁ。眠い・・・もうそろそろ限界だぁ、おやすみ」
「うん、おやすみ」
芽衣子にそう告げると、私も布団に潜り込んだ。
ここに引っ越してきたばかりの頃に、玲央さんが「晴美さんと一緒にいたいために、自分の我儘を貫いてしまって申し訳ない」と謝っていたのを思い出した。
「本当の家族になれるように努力する」とも言ってた。
始めは緊張とママに対する怒りでギクシャクしていた気持ちも、ここ最近では、玲央さんの優しさに触れて、真央も意外にいい奴なんだって解って、だいぶ居心地が良くなっている気がした。