鯉に咲く桜
「離れたくないのう…。」

僕の胸に顔を埋める羽衣狐。
背中に回されている手は、とても暖かい。

「…、もう、そんなこと、言わないでよ…。」

大変なんだよ、と言うと、彼女は嬉しそうに笑う。

羽衣狐といると、とてもホッとする。
この時間は、何も考えなくても良い。

組のことも、何も考える必要はない。

でも…、


「…っ、?…あ、にき…?」


幸せな時間は、決して長くは続かないんだ。

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