鯉に咲く桜
プロローグ
いつから、だったかな。
いつから、君を意識し始めたんだったかな。
あぁ、そうだ。あのときだ。
長きに渡る、晴明との戦いが終わった後だ。
甥のリクオを君が半妖の里に連れていったときだ。
様子を見に行った僕は初めて、本当の君を見た気がする。
あのときの君は、まるで我が子のようにリクオを愛おしそうに見ていたね。
それもそうだろう。
だって君の半分は、かつて僕の弟が愛した女性なのだから。
分かっていた。
君の姿は彼女に瓜二つ。
その為に君が、リクオを特別視していたことも、分かっていた。