鯉に咲く桜
それでも僕は、願ってしまう。
禁忌だとしても。
叶わないと思っていても。
君が、ほしいと。
僕は滅多に表に出ることはない。
出入りに参加することもない。
僕の仕事は参謀だから。
護るべき者達がいる。
護らなければならない。護りたいんだ。
だから、本当はその護るべき者達に仇なした君を、
僕は許してはいけないんだ。
仲間にもなれることはない。
君を、殺すべきなんだ。
今までの僕なら、躊躇しなかった。
でも、今は…。
君を失いたくない。
どんなに苦しくても、君を愛していたい。
狂おしいまでのこの、想いを、君に捧げたい。
どれだけの者達を敵に回しても、僕は君が愛おしい。
だから今日もまた、君を想いながら、生きているよ。
……………羽衣狐。