鯉に咲く桜
身支度を済ませて向かうのは私立浮世絵学園高等学校。

僕が保健医を勤めている私立校。

ここにリクオ達は通っている。
氷羅や青もここの生徒として通っている。

「桜先生ー!おはようございます!」
「あ、桜先生!」

ここでは、桜 咲と名乗っている。

保健医と言う立場は、とても動きやすい。
会議に出る必要もないし、患者が来ない限り自由だ。
その上この学園には保健室が複数あるため余計に自由が確保される。

何かあれば留守の看板を下げて鍵をかけていればいい。

気になる情報を昼に集め、それを夜に確かめる。
そして組に仇なすと判定すれば僕が直々に処罰する。

全ては組の為だ。
あの笑顔を、なくしたくない。なくさせない。
僕が護るんだ。

だから、これは気付かれてはいけない。

僕の心を掴んで離さない、この想いは気付かれてはならないもの。

僕のあのヒトへの想いは許されざるものでしかない。

組にとってはデメリットでしかないんだ。

「…羽衣狐。」


君を愛して初めて知った。
誰かを愛すると言うことはこんなにも苦しいものだと言うことを。

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