恋の神様はどこにいる?
志貴はアヒルのように摘まんだ私の唇を少し引っ張ると、ピンッと弾いて指を離す。
「もう、痛いんだけど」
「俺に反抗的な態度をとった罰。こんなのまだ序の口だから」
反抗的って……。私は志貴に反抗しちゃ駄目っていうの? 従順な態度でいろっていうこと? しかもまだ序の口だとか。
その時、昨日の朝志貴に言われた言葉が頭を掠めた。
俺の下婢として使ってやる───
もしかしてこれが “下婢” 、召使いの始まりとか?
巫女になる=こんなことが日常茶飯事になるっていうこと?
いやいや、そんなことはさすがにないはず。いくら志貴でも、本当にそこまでするなんてこと……ないよね?
「おら、行くぞ」
多少の不安を残しつつも『大丈夫』自分にそう言い聞かせると、志貴と一緒にスーパーへ買い物に向かった。